Step 3: リストを作る
売る相手がいなければ売上はゼロ。商品が弱いから売れないのではなく、そもそも「誰に届けるか」が空白だから売れないことが多い。リストとは、単なる名前の一覧ではない。連絡できて、温度がわかっていて、次の接触理由がある人の集合である。
この章のゴールは、Web発信と直接営業の2経路で、最初の見込みリストを作ること。Phase 0の「X発信10投稿」と直結する。
目次
- [[#1. リストの定義 — 温度 / 連絡可能性 / 購買意欲の3軸|リストの定義 — 温度 / 連絡可能性 / 購買意欲の3軸]]
- [[#2. リストの種類 — ハウスリスト / 見込みリスト / オーディエンス|リストの種類 — ハウスリスト / 見込みリスト / オーディエンス]]
- [[#3. 集客 → 接触 → リスト化のパイプライン全体像|集客 → 接触 → リスト化のパイプライン全体像]]
- [[#4. Webマーケ経路(1) — X発信の型(固定ツイ・スレッド・引用RT)|Webマーケ経路(1) — X発信の型(固定ツイ・スレッド・引用RT)]]
- [[#5. Webマーケ経路(2) — Zenn / Qiita / note の使い分け|Webマーケ経路(2) — Zenn / Qiita / note の使い分け]]
- [[#6. Webマーケ経路(3) — SEO / AEO(AIエンジン最適化)|Webマーケ経路(3) — SEO / AEO(AIエンジン最適化)]]
- [[#7. 直接営業経路(1) — 既存人脈の掘り起こし方|直接営業経路(1) — 既存人脈の掘り起こし方]]
- [[#8. 直接営業経路(2) — 紹介・商工会議所・補助金ベンダー登録|直接営業経路(2) — 紹介・商工会議所・補助金ベンダー登録]]
- [[#9. リスト管理 — Notion / Spreadsheet / CRM の選び方|リスト管理 — Notion / Spreadsheet / CRM の選び方]]
- [[#10. 軸X・軸Yそれぞれへの適用|軸X・軸Yそれぞれへの適用]]
- [[#11. 演習 — 今週X発信3投稿 + 既存人脈10人棚卸し|演習 — 今週X発信3投稿 + 既存人脈10人棚卸し]]
1. リストの定義 — 温度 / 連絡可能性 / 購買意欲の3軸
概念
リストは「名前」ではない。営業で使えるリストには3つの情報が必要。
| 軸 | 見ること | 例 | |---|---|---| | 温度 | どれくらい関心があるか | 投稿に反応、相談済み、紹介された | | 連絡可能性 | 直接連絡できるか | LINE、メール、DM、紹介者経由 | | 購買意欲 | お金を払う可能性があるか | 予算あり、既存支払いあり、緊急課題あり |
3軸すべてが高い人から当たる。フォロワー数が多くても、連絡できず、購買意欲がなければリストではなくオーディエンスに近い。
温度分類
| 温度 | 状態 | 次アクション | |---|---|---| | Hot | 課題を話しており、相談日程が組める | 面談打診 | | Warm | 投稿反応・紹介・過去接点がある | 近況確認、軽い質問 | | Cold | 名前はあるが接点が薄い | 発信で接触理由を作る |
2. リストの種類 — ハウスリスト / 見込みリスト / オーディエンス
| 種類 | 定義 | 例 | 使い方 | |---|---|---|---| | ハウスリスト | 既に自分と関係がある人 | 友人、元同僚、既存顧客、家族経由 | 最初のヒアリング・紹介 | | 見込みリスト | 条件に合うが関係は薄い人 | 地域企業、業界人、SNSアカウント | 調査・直接営業 | | オーディエンス | 発信を見ている不特定多数 | Xフォロワー、note読者、Zenn読者 | 信頼形成・教育 |
最初に強いのはハウスリスト。知らない人へ営業するより、既に信用のある人へ「今こういう検証をしている」と話す方が速い。オーディエンスは育つまで時間がかかるが、長期資産になる。
3. 集客 → 接触 → リスト化のパイプライン全体像
リスト構築は、以下の流れで考える。
` 発信 / 紹介 / 検索 ↓ 接触(いいね・返信・紹介・DM・名刺交換) ↓ リスト化(名前・連絡先・課題・温度) ↓ 育成(投稿・メルマガ・近況連絡) ↓ 商談(ヒアリング・提案) `
どこで詰まっているかを毎週見る。
- 発信していない → 集客がない
- 反応を記録していない → 接触が消える
- 連絡先がない → リスト化できない
- 価値提供していない → 育成できない
- 課題がない → 商談に進めない
4. Webマーケ経路(1) — X発信の型(固定ツイ・スレッド・引用RT)
Xの役割
Xは「信頼の事前形成」と「接触理由づくり」の場所。いきなり売る場所ではない。営業前に相手がプロフィールを見た時、「何者か」が伝わる状態を作る。
3つの型
| 型 | 目的 | 内容 | |---|---|---| | 固定ポスト | 初見の理解 | 何をしている人か、何を助けるか | | スレッド | 権威性 | 実践知、手順、失敗談、ケース整理 | | 引用RT | 接触 | 相手の文脈に乗って意見を出す |
投稿テーマ
- AIで1人会社をどう回しているか
- 中小企業のAI導入でつまずく点
- 営業・提案・ナレッジ化の実践
- 自分の実験ログ
- 顧客に見せても恥ずかしくない思想
売るための発信ではなく、商談前に「この人なら話が早そう」と思われる発信を積む。
5. Webマーケ経路(2) — Zenn / Qiita / note の使い分け
| 媒体 | 向いている内容 | 目的 | |---|---|---| | Zenn | 技術実装、AI開発、Claude Code運用 | 技術的信頼 | | Qiita | 実装Tips、エラー解決、チーム共有 | 検索流入 | | note | 事業、思想、営業、個人のストーリー | 人となり・購入前理解 |
軸Xでは、Zennで技術的信頼を作り、noteで事業文脈を補う。Qiitaは検索に強い小さなTipsを置く。すべてを同じ文体で書かない。媒体ごとに読者の期待が違う。
使い分けの原則
- 技術の再現手順 → Zenn / Qiita
- 仕事観・事業観 → note
- 即時の反応と接触 → X
- 営業資料化したい内容 → Zennかnoteに長文で残す
6. Webマーケ経路(3) — SEO / AEO(AIエンジン最適化)
SEO
SEOは検索エンジンに見つけてもらう設計。タイトル、見出し、具体例、検索意図への回答が重要。短期で効かないが、半年後のリスト入口になる。
AEO
AEOはAI検索・回答エンジンに引用されやすい形で情報を置く考え方。結論、定義、手順、比較表、FAQの形にしておくと、AIが要約しやすい。2026年時点では流動的だが、少なくとも以下は有効。
- 1記事1テーマ
- H2ごとに問いへ答える
- 表で比較する
- 出典と更新日を書く
- 事例と手順を具体化する
7. 直接営業経路(1) — 既存人脈の掘り起こし方
既存人脈は最初の資産。いきなり売り込まず、近況確認と検証協力から入る。
棚卸しカテゴリ
- 家族・親戚
- 元職場・元クライアント
- 同業のエンジニア
- 地元の事業者
- SNSで何度か会話した人
- 過去に相談された人
連絡文の型
` お久しぶりです。今、中小企業向けのAI活用支援の仮説検証をしています。 売り込みではなく、現場で本当に困っている業務を知りたくて、 30分だけ話を聞かせてもらえませんか。 もし直接関係なければ、近い方を1人紹介してもらえるだけでも助かります。 `
ポイントは「売り込みではない」と明示し、相手の負担を小さくすること。
8. 直接営業経路(2) — 紹介・商工会議所・補助金ベンダー登録
地方中小企業向けでは、紹介と公的接点が強い。
| 経路 | 強み | 注意点 | |---|---|---| | 紹介 | 信頼が最初からある | 紹介者の顔を潰さない | | 商工会議所 | 地域企業に届く | 売り込み色を抑える | | よろず支援拠点 | 無料相談導線に近い | 自社売上に直結しない場合もある | | 補助金ベンダー | 導入予算と接続しやすい | 制度変更・審査・登録条件の確認が必要 |
補助金や公的制度は変わる。使う時は必ず最新の公式情報を確認する。リスト構築では「補助金があるから売れる」ではなく、「補助金を含めた相談に乗れるから信頼される」と捉える。
9. リスト管理 — Notion / Spreadsheet / CRM の選び方
最初から重いCRMを入れない。10〜100件はSpreadsheetかNotionで十分。
| 件数 | 推奨 | 理由 | |---|---|---| | 1〜30 | Spreadsheet | 速い、一覧性が高い | | 30〜200 | Notion | メモ・議事録と紐づけやすい | | 200以上 | CRM | ステータス管理・自動化が必要 |
最小カラム
` 名前 / 会社 / 連絡先 / 関係性 / 課題 / 温度 / 最終接触日 / 次アクション / メモ `
「次アクション」が空欄のリストは死ぬ。必ず次に何をするかを書く。
10. 軸X・軸Yそれぞれへの適用
軸X
軸Xは高単価・信頼型。少数の濃いリストが重要。最初は以下に集中する。
- 既存人脈10人
- 地元・関西の中小企業候補20社
- Xで反応してくれた人30人
- 商工会議所・紹介者候補5件
軸Y
軸Yは低単価・多数型。匿名に近いオーディエンスも重要。
- 競合ユーザーの不満投稿
- 既存サービスのレビュー投稿者
- 関連コミュニティの発言者
- LP登録者
ただし軸Yは法務・ストア審査・決済審査の制約が大きい。リストを集める前に、対象ジャンルを外向きにどう表現するかを決める。
11. 演習 — 今週X発信3投稿 + 既存人脈10人棚卸し
出力物
- X投稿3本
- 既存人脈10人リスト
- 次アクションつきリスト管理表
X投稿テーマ例
- 自分がAIで1人会社を回す時に変えたこと
- 中小企業のAI導入で最初に見るべき業務
- 「AI導入」より先に必要なナレッジ整理
完了条件
- 3投稿が公開済み
- 10人全員に温度・連絡可能性・次アクションが入っている
- 3人にヒアリング依頼を送っている
参考資料
- [Google Trends](https://trends.google.com/trends/) — 検索関心の確認
- [Google Trends Help — Compare Trends search terms](https://support.google.com/trends/answer/4359550?hl=en) — 複数検索語の比較
- ai-conpany
projects/001-personal-brand/strategy/authority-buildup/README.md— 営業前の権威性構築方針
学習目標
- リストの温度を3段階で言語化できる
- 自分のWebマーケと直接営業の比率を決められる
- 1週間で集める接触数の目標値を立てられる
成功基準
- X発信10投稿が完了し、フォロワー反応の傾向が言える
- 既存人脈10人のリストが1枚に整理されている